大谷だいやんのブログ

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『おちたらおわり』最新6巻まで一気に読んだ感想。~ずっと孔美子のターン!~

※ネタバレありです。6巻までの感想です。

すえのぶけいこ先生の『おちたらおわり』最新6巻まで読んだ。

これはいわゆるレディコミと言っていいのかな?普段あまり読まないジャンルではあったが、続きがどんどん気になって一気読みしてしまった。

そして6巻以下続刊……なので完結してから読めばよかったなと後悔してる笑

 

まず、この作品テレビか何かで紹介されていたので知って、欲しいものリストに登録していたんだが、たまたま1巻無料セールとなったキッカケでまんまと読み始めてしまった。

最初は、あ~これは主人公がママ友達全員から一方的にいじめられる胸くそな話かな~という気持ちで読んでたけど、意外とそうでもないというか群像劇のような感じで主人公以外のキャラにもスポットが当たるのでなかなか面白く読めた。

単純にいじめられる話というよりも、出てくるキャラが全員「あたおか」なので、人間の様々な「あたおかさ」を楽しむという漫画であると言える。

 

最初の印象ではこの作品の舞台はタワマンであり、『おちたらおわり』というタイトル通りになんらかの理由でタワマンから出ていくことになる(タワマンから落ちる)と人生終わりということが一応の話の主軸であると解釈をした。

だが、今の段階ではタワマンコミュニティはほぼ幼稚園ママ友コミュニティとイコールであるので、関係性が幼稚園の中だけで済んでいる。なのでタワマンから落とすというよりも、同じ幼稚園のママ友を退園させる話になっているとも言える。つまり思ったよりタワマン感が薄いのである。

そして現在6巻まで読んだところ落ちたのは2人。意外と落ちていない。

 

この作品の子育て描写は全てフィクションだと信じたいが、仲良くもないママ友との高額ランチ会や(断ればよくない?)、面倒くさすぎる幼稚園の係(お金持ちならお金で解決できない?)、大人なのに遠足で「この中でグループを作ってください(トラウマ展開)」など、読者としては「子育ては地獄だ!!」というメッセージを受け取らざるを得ない。

そもそも自分の子供時代を思い返すとママ友同士との付き合いなんて最低限であったと思うが、それでも子供は子供同士問題なく仲良くしていたので、『お金も時間も余裕がある選ばれし人々』の世界でのみこういう社交界的なめんどくさいコミュニティが生まれるのかなぁと思っている。

 

登場人物についてだが、まず読み始めて気になったのは主人公の明日海の行動がいまいち共感できないというところだ。

例えばママ友、子供の集まりで昔孔美子にいじめられた話をして叫び出すなど、さすがに他のママ友達に「コイツヤバ……」と思われても仕方ないのでは?と思うキャラでなのある。そもそもこのタワマンの住人としてもあまりに庶民的な感覚で場違いすぎるし、もう少し身の丈にあったところに住んで普通の幼稚園に行った方がいいんじゃない?と思った。

その後の展開で「結局どこまで行っても孔美子がついてくるだろう……」という明日海の思い込み?があったけれども「本当に普通の幼稚園に行ってもついてくるのか?」「とりあえずタワマンから普通のマンションに引っ越せば、タワマンコミュニティからは抜けられるよな?そして無理して働く必要なくなるよな?」「そもそもここに引っ越す前は孔美子ついてきてなかったんだろ?」といろいろと疑問が出てくるのだが、その後の孔美子のハチャメチャ展開に「この漫画は孔美子のご都合主義ストーリーである」と理解してからあまり細かいことを考えてもしょうがないんだなと思い読めるようになった。

 

その決定的な孔美子ハチャメチャ展開なのだが、4巻で初めて犠牲者?となる心菜の件だ。これは孔美子というか発端は心菜の自業自得な話なのだが、七夕のお泊まり会で不倫現場の映像が流されるのだ。もし実写ドラマ化をすれば、一番の盛り上がる展開であろう笑

しかしこの盗撮映像、確かに孔美子が映像を隠し撮りしていた描写はあったが、どうやって音声まで録れた?現場のインターフォンなどにマイクが仕込まれてあり、後にこの映像と音声を合成したのであろうか。

そしてめちゃくちゃ遠くのすべり台の上で孔美子が『Amazon Fire TV Stickのリモコン』のような物を持っており映像を操作していたことがわかるのだが(赤外線届く?)、ここで決定的に「あぁこの漫画は孔美子の思うがままで動く世界なんだ」と理解をした。

つまり大きくいえばこの漫画を描いているのは孔美子なのだと。

その後、孔美子は明日海旦那の勤める会社の情報を流出させた笑 

 

話しが進むにつれ孔美子が明日海のことが好きな百合展開な感じ?それか強い友情?執着の話ということはなんとなくわかってきたのだが、それならあんな気味悪い近づき方すれば関係性は長く築けないし逆効果じゃないか?というところが腑に落ちない。何でも思い通りにできる孔美子なら普通に仲良くなることの方が簡単であると思う。

明日海を洗脳してからのトンデモ展開で、『ママ友誓約書』にサインさせるという結婚式のような謎儀式を行うのだが、それなら『友達誓約書』でよくないかと思った。なぜママ友という子供ありきの距離を取った関係性にした?笑 そもそも孔美子は本当の子供でない陽美妃を愛してもいない(?)のに。

というか孔美子はタワマン住人の写真貼り付けて「どこから落としていこうかしら」と楽しんでいた描写があったし、やっぱり明日海が主な目的ではないのかな??

 

そんなトンデモ展開もあるし実写ドラマ化がいろんな意味で楽しみではあるが、もし実写化したら一番おいしいキャラは朋代であろう。

いつの間にかふくよかになった朋代であるが、この人物は孔美子にそそのかされる前からも幼稚園の集会で「最近気になる人ができた……」と隣に明日海がいるにも関わらず懺悔してるし、旦那の飲み物にナメクジ入れるし、半裸でタワマンで暴れ、電磁波におびえているとんでもなくあたおかなキャラなのである。

そして孔美子にそそのかされ、明日海旦那にどう考えても脈なしなまま突撃していてヤバすぎるし、そもそも旦那にDV受けてるので最初から最後まで不憫でしかなく「こいつ前世でいったいどんな悪行を働いたんだ?」とまで思わさせられるほど、この作品で最も印象に残るサブキャラなのである。

 

最後に今後のストーリーにおいてどう考えても重要になるであろう、同じ階に住む謎のイケメンなのだが、コイツはいきなり明日海親子を盗撮して近づいてきたり、人妻を下の名前で呼び捨てで読んだり、部屋に入れて馴れ馴れしくしたりと、もし顔面がキモオタなら『一発通報』されるような人物である。

後にこのキャラが明日海と繋がりがあったことがわかり、比喩として石油王であるという事実が判明するのだが、彼が今後明日海とどのような関係になっていくのかが話のカギとなりそうであるし、7巻からの展開が楽しみである。