大谷だいやんのブログ

日記や様々な作品のレビューブログです。

『モアザンワーズ』アマプラ 感想「そもそも代理出産を描いてなかったし、むしろ否定してるようなドラマだった」 『More Than Words』

アマゾンプライムビデオの「モアザンワーズ/More Than Words」を観てみた。

 


以下レビューはネタバレと率直に感じたこと、怒りなど書いているので、『P.N.モアザンワーズ大好きっ子さん』という自覚がある方は決して読まないでください。原作は未読です。あと観返してないので間違いがあるかも。

 


まずなぜ自分がこの作品にたどり着き視聴に至ったのかは以下の通りである。

・アマプラの一番目立つとこに表示されている

・アマプラでやたら宣伝が流れる

・「代理出産!?なんて社会派ドラマ!!」

・テレビドラマと違っておしゃれっぽい♪

・メインが知らない俳優さん達なので変なイメージついてなくて観やすそう

・頭の片隅になんとなくTwitterで炎上してるっぽい記憶があった

 


『うろ覚えTwitterの炎上』の件についてはあらためて検索してみたが、どうやら「代理出産合法化を美しく描き肯定しているドラマだから配信するな!」という感じであった。まあでも思ったほど燃えてはなかった。

この作品を視聴した人なら分かると思うが、代理出産の肯定はしていなくて、いやむしろ否定、若さゆえの過ちのような描き方をして……というかよく考えたらこれ代理出産じゃなくて普通の出産じゃね?という内容である。詳しくは後に述べる。

 


前置きはこのくらいで、以下特に気になった6話と7話と結末を中心に作品の感想を書く。

まず、前半の5話までは永慈にひたすらイラつきながらも、雰囲気の良さ、おしゃれさ♪、ノーカット長回しの感じなど良い点もあったので問題なく視聴していた。

しかし大きな問題が起きたのは6話である。ついにこのドラマの根幹……と誰もが思っていたテーマ「代理出産」についての話が動き出すのである。

 


3人が佐々木蔵之介に呼ばれ「子供を産み育てることが幸せだ!二人は別れろ!」みたいなこと言われ、帰宅し絶望するシーン。そこで美枝子が「うち二人の子供産む!」と急に言い出すのである。

 


「え?????」

 


ちょっと待て、落ち着け、そんな大事なこと簡単に言うな!これは代理出産をテーマにしたドラマなはず(私の勘違いか?)。二人が父親に認めてもらえないという件は一旦お家に持ち帰ってさ、二人がどうやったらこのままの関係を続けられるか美枝子が必死に考えてさ、「もし私が二人の子供産めたら全て解決するんじゃ……」とか考えて、その後『代理出産』についてネットでいろいろ調べつくして、決心して二人を呼び出し「うちが二人の子供産む!……ってのはどうでっしゃろ?w」くらいの描写あってもいいだろ!?

 


「出産という行為に対して、まさかの葛藤ゼロ!?」

 


父親に反対された当日に何にも調べたりもせずに勢いで「うち二人の子供産む」とか言うか?もし帰宅中にスマホで必死に『代理出産 戸籍 どうなる』とか調べていたのであればそういう描写を入れてくれ!

美枝子はそんなに出産~子育てについて軽々しく考えているという設定?それは若いから?勢い?「永慈が金持ちやからなんとかなるやろ!」とか?

 


このシーンをきっかけに、

「どうでもいいラーメン食ってるシーンとかはノーカットで垂れ流してるのに、肝心なとこは描かんのかい!」

……と今までは「おしゃれじゃん♪」と感じてさえいたノーカット長回しのシーンに対してもだんだん腹が立ってきた。

正直このシーンで「これ代理出産をテーマにしたドラマってわけじゃない感じ?」という疑惑が生まれ、一旦視聴を止めてしまった。けど、もう半分くらい観てしまったし、最後まで観ずに批判するのもな……という義務的に最後まで視聴することにした。

 


これだけ怒っていると「逆に自分どんだけ代理出産ドラマ観たいねん!?」って感じで代理出産過激派みたいであるが、「代理出産がテーマじゃないんやったら、逆にどういうモチベーションでこのドラマ観ればいいねん!?」という気持ちだ。

 


あと、出産についてはまっきーと永慈も出産についてい強く拒否しろよ……、美枝子は今は男嫌いかもしれんが美枝子の将来考えてあげろよ……、しかも永慈は6つも年上やろ(イライラ)と思ったけど、ここで真面目に拒否したらこのドラマ成立しないだろうから仕方ない、と自分を無理矢理納得させた(モヤモヤ)。

 

 

 

そして次の7話はついに美枝子が妊娠して、本当は永慈の子なのにマッキーの子と嘘をつくという話。

最初は美枝子がともさかりえに「どっちの子かわからん」みたいなこと言ってて、

 


「ん?????」

 


と頭の中が疑問符で埋め尽くされたんだけど、いやいやいや、そもそも永慈の父親に認められたいから子供作るって流れになったのでは??何で子供できるんだったら相手はどっちでもいいって感じになってんの???急に若者の性の乱れがテーマになった?

まっきーの子ができたとしても、永慈父からしたら「あっそ。美枝子ちゃんとまっきー?だっけ、お幸せに」って感じだろうし、子供を作る必要ないはずなのだが、あまりに致命的すぎる事なので、これはむしろ自分の解釈違いなのでは?と今キーボードを叩きながらも自身の馬鹿さを疑っており、あまり自信がない。

なので、その後まっきーが父親でないことから疎外感を感じ、二人から離れていく流れも、共感というよりこの7話の製作と私との解釈のズレから、

 


「いや、そもそも永慈の子供作って父に認められる選択をしたはずなので、そうなるやろ!」

 


と全く物語に感情移入できないまま置いてけぼりで、どんどん第2章~安アパート編~みたいな話が進んでいった。なので最終話までずっと、ん?これ自分の解釈が間違ってる?という疑問符が消えず非常に気持ちが悪かった。

 

 

 

そして、最終話まで観たまとめを書く。

今回のような代理出産の場合、現実に起きる問題として考えると、出産したはいいが恋人でない友達の美枝子の方が疎外感を感じてしまい「おいおい、私は産んだだけかよ!」というケースの方が考えられると思うんだが、なぜ恋人であるまっきーが疎外感を感じ離れるというレアケースを描いたのかということが非常に疑問ではあった。結局、永慈&美枝子が籍を入れ夫婦になり永慈は美枝子のこと好き、みたいなこと言ってるし(どういう意味の好きなんですか?)、

 


「これって代理出産ではなくて、普通に出産では???」

 


ってハッとしたが、つまりいつの間にか代理出産の話ではなくなっているし、そもそもこれは代理出産の話じゃねぇーんだよ、勝手に期待すんなバーカ!って言われそう。

 


あと、三人が久々の再会をするも、まっきーが何で二人のとこ戻らなかったのかは正直全くわからん。二人が夫婦になってる様子からそこにはもう戻れないと感じた……と解釈しろということだとたぶん思ってはいるが、永慈&美枝子はまだまっきーに戻ってきて欲しい様子ではあったし、「また三人、いや四人で……」というような会話になると思った。だが、再会のシーンはいまいち具体的な会話がなかったので、何でまっきーが戻らなかったのかはマジでわからん。描かれてないからな。どうでもいい長回しはお腹いっぱいだから大事なとこを描いてくれ。

そしてまっきーの方は髪の毛伸びっぱなしの、コンビニバイト貧乏暮らしだし「そこまで落ちぶれさせる必要ある?」と思った。同じ安アパートで祖父の介護&美容師辞めたいEXITとよろしくやってるけど、このすぐに壊れそうな傷の舐め合いみたいな関係と永慈&美枝子との格差社会つらすぎ……、まっきーなんて高校時代はモテモテだったはずなのにここまで転落させるなんて。こんなオチでもし製作者が何か伝えたいことがあるとしたら

代理出産なんて夢みたいなこと考えんじゃねえ、現実は父親がいて母親がいて子供が産まれそれが家族でそれが幸せなんや!!」という蔵之介である。蔵之介、お前が撮ったんか!

というのは『※私個人の感想です。』なのだが、つまり最初に述べた「代理出産合法化を美しく描き肯定しているドラマだから配信するな!」というTwitterでの炎上は全くの的外れであり、この作品では代理出産を描いていないし、永慈&美枝子とまっきーの結末の対比を見ると、むしろ代理出産合法化に反対しているのでは?という感想である。

 


……とまとめたつもりだったが、書いた文章を読み返してみてやっぱり、自分があまりに『代理出産』に固執しすぎていないかと我に返った。

 


★☆☆☆☆『モアザン代理出産ウォーズ~代理母たちの親権争い~』というタイトルというわけでもないのに、代理出産に期待しすぎ!

 


と、逆に星一つの評価をされそうな文章だ。

しかしこの作品のクオリティは、代理出産についてさえ気にしなければそれなりに楽しめる作品であることは確かである。1話切りばかりしちゃう、堪え性のない自分も最後まで視聴できたし。今風のおしゃれでいい雰囲気なので、若者は好きそう。ただ結末は誰もが気分が暗くなると思う。

 


以下その他の細かい感想

・ノーカット長回しも最初はリアリティがあっていいなと思っていたが、何回も意味のない長回しを観てるとついスキップしてしまう。

・まっきー役の方、高校生役も大人になってからもまっきー役は彼しかいないという感じで素晴らしい。

・バイト仲間の高校生の6歳上であるはずの永慈が、その高校生のことが好きだと、友達の高校生に相談してる(相手は未成年やぞ、怖っ)。

・まっきーが永慈の告白受け入れるの早くないか。

・妹が実家には帰らないほど父親に怒ってくれているのに、何事もなかったかのように会社を継いでにやにやしている永慈にいらいら。

・最初は美枝子視点で脳内の独白もあったはずなのに、いつの間にか美容に興味をもって美容の専門学校へ行くことになってるのを視聴者の私が知らないの何?ってなった。

・EXITが前日の日中にゴミ出しを注意してくるのはまだわかるが、深夜のゴミ出しまで注意してくるのはやりすぎ。

・最後らへん美枝子がまっきーのこと好きみたいなとこもなかったっけ?どういう意味の好きなんですか?永慈→美枝子とかも後半ちゃんと説明しないの何?

・それより佐々木蔵ノ介がともさかりえと対面して「おい、この家大丈夫か?」と一悶着あるのが観たい。

 

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